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小学校のプログラミング教育   3つの懸念


 「プログラミング教育?今は『GIGA School』対応、コロナの対応で精いっぱい!」という受け止め方が多いのも事実です。小中学校では感染防止対策、一人一台端末をどう活用するか、オンライン授業など取り組むべき多くの課題が山済みです。小学校では英語の教科化、教科担任制、キャリア教育など新しい課題も解決していかなくてはなりません。そんな中でプログラミング教育もしていかなくてはならない現実を考えてほしいものです。
さて、ここで今感じているプログラミング教育についての3つの懸念について書きたいと思います。

懸念1  いわゆる「ブーム」(流行)
 実は『GIGA School』のことがクローズアップされたので、もう下火になりつつありますが大学入試にプログラミングが出題される2025年に再びそのブームがやってくるでしょう。業界の方もビジネスチャンスということで 多くのプログラミングソフトやロボットなどが開発されています。そんな中で何が良いのか、判断するのが現場では難しい。そしてそうこうしているうちに「ブーム」は終わる。ブームが去ると決まってその悪影響が取りだたされる。そんなことの繰り返しでした。例えば
 20年ほど前「総合的な学習の時間」というものが「ゆとり教育」とともに出てきて研修が盛んにされていました。そのブームが過ぎ今は「ゆとり教育」が日本の子どもの学力を下げたという悪影響ばかりが世間一般に言われています。(私はそうではないと思っていますが。)
同じことがおこるのでは?と危惧しています。
 総合的な学習もプログラミング的思考も「生きる力を育てる」ために必要なのであって決してブームで終わらせてはならないのです。

懸念2   ビジュアルプログラミング (確かに今の子どもにはピッタリですが)
 今、子どものプログラミング教育を支える言語は ビジュアルプログラミングです。数ある言語の中で小学生高学年用プログラミング教育用の言語は ほとんど ビジュアルプログラミング(言葉が書いてあるブロックを組み合わせていくもの)がほとんどです。代表的な例がスクラッチです。しかし スクラッチは一見 簡単なようですが実はそれで大学入試に出てくるプログラミング教育をすることは難しいのです
 最初は「お手軽な」ビジュアルプログラミングから、それはそれで良いと思います。しかしそれが中学校でもスタンダードになりつつあるのが問題です。数年後にはパソコンで試験が行われる時代になる可能性があり、2025年から大学入試で始まる「情報」のテストではプログラミングに関する問題も出てきます。
 その頃になって上の懸念1に書いたように小中学校で「プログラミング教育」という名のもとに おもちゃで子どもを遊ばせて、ブロックを組み合わせていくプログラミングばかりやってテキストでプログラミング的思考が養えていないので 高校でまた最初からテキストプログラミングを教えなければならない そこで脱落者が多く出てくる というような悪影響が叫ばれることになるような気がしてなりません。
 ここが一番の問題でビジュアルプログラミングからテキストプログラミングへの道筋が見えてこないのです。

懸念3  さまざまな誤解

世間一般の誤解として
これからはプログラミングができないと世の中についていけない。

 今ある仕事がどんどん機械化されこれからはプログラミングができないと就職もできない。そんな声が聞こえてきそうな気がします。確かに そういう人材の必要度は増えますが、一般的な思考力や知識の一つにプログラミング的思考やその知識が増えるだけの話で小中高等学校の勉強の中でのプログラミングさえやっておけば将来は大丈夫だなんてことは絶対あり得ません。必要とされる人材は高度にプログラミングを共同しながら設計、開発、運用していく人であってそんなにたくさんの人が携われる職業ではないです。
 むしろ 今までの文章読解力やコミュニケーション能力。そして思考力、判断力。表現力が重視されます。だから 指導要領には そう書かれているのです。

先生方の誤解として 
1 プログラミング教育もできた作品を共有する創作活動である。

 もちろんプログラミングをすれば様々な作品が生まれますが、プログラミング教育で 本来、共有すべきはどういうプログラムでそれが動いているのか あるいはどのような失敗体験をしどのような試行錯誤の上にそれができたのかを共有し学習しないと大学入試や大人になってからこまってしまいます。

2 プログラミングは教科の単元目標を達成させるものでなければならない。
 あるいはコンピューターに命令を出す体験さえすればよい。

追記

 どういうプログラミング教育が小学生に必要でそれは 中学、高校以降にどうつなげていくのがよいのかを考えていかなくてはならないと思います。また子どもへのプログラミング教育ばかりが話題になっていますが先生方を含め大人の方にどう広めていくのか プログラミングをする大人をどうやって増やしていくかを考えないといけないということを強く感じています。

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