プログラミング教育 これから大きく変わると予想されます
「プログラミング教育?今は『Next GIGA School』対応で手一杯」という受け止め方が多いのも事実です。小中学校で一人一台端末をどう活用するか?デジタルシティズンシップをどう養っていくか?「自由進度学習、個別学習、協同学習、学び方を一人一人が学ぶ」という大きな教育変化の中でプログラミング教育も大きく変わっていくはずです。
さて、ここで今私が思っているプログラミング教育についての「3つの予想」について書きたいと思います。
予想1 「ブーム」(流行)が去り 新しい「ムーブメント」が始まる
大学入試にプログラミングが出題された2025年に、再び「プロブラミングブームがやってくる」と思っていましたがそれもなく、業界の方も多くのプログラミングソフトやロボットなどが開発されていましたが、徐々に下火になってきました。
しかし、AIの出現により今後5年間ぐらいで「誰でもアプリが作れる」時代が定着していくと考えられます。特に先生方が自分の授業のためにアプリを作る時代がやってくると予想します。そのアプリはインターネットの技術を使った校内ネットワークを使ったものになると思っています。
先生たちの授業は創造性が必要です。今は、大量に出回っている(Webアプリを含めた)アプリでどれが良いかをさがしている状態で、料理で言えば市販されている「できあがった料理」のうちどれを子どもたちに食べさせるのが良いか探している状態です。しかも、そのアプリはOSを含めて自治体ごとに違います。一つの自治体でも様々な事情で突然アプリが変わるなんてことも珍しくありません。あのアプリが使えたらいいなあ。あのデバイスが主流だからあれに変えてくれないかなあなんて思う先生方は多いはずです。しかし、授業の本質は「創作料理」なのです。目の前の子どもたちにどんな授業をすれば良いか考えながら授業を作る。そんなアナログ時代にもやってきたことがデジタル時代にも形を変えながら新しいムーブメントとなっていく。予想というか個人的な希望であります。既存のアプリによって教育の創造性が減少しないことを祈っています。
予想2 ビジュアルプログラミング が衰退する
今、子どものプログラミング教育を支える言語は小学生ではビジュアルプログラミング(言葉が書いてあるブロックを組み合わせていくもの)です。代表的な例が「スクラッチ」です。しかし、スクラッチは一見 簡単なようですが実はそれで大学入試に出てくるプログラミング問題を解決することにはつながって行くのは難しいです。
そして今、AIがプログラムを作るのが普通になってきています。
プロも一から自分でプログラムを打つのではなくAIなどが作り出したコードをコピーペーストして新しいプログラムを完成させていく時代になりつつあります。そこでのコードは全てテキストベースのプログラミング、中学生ともなればAIにプログラミングをさせそれを自分で変えていく授業がすでに行われており、おそらくそれが主流になってくるでしょう。小学校(中学校でも?)ビジュアルプログラミングしかやっていないのであれば確実にAIの恩恵にはあずかることができません。諸外国ではビジュアルプログラミング
をやっていない ということも聞いたこともあります。ビジュアルプログラミング は衰退していくような気がしています。
予想3 プロブラミングに限らず一斉授業の役割が見直される。
プログラミング教育の初期にアンプラグド(機器を使わない)プログラミング教育が話題となり数々の一斉授業が行われやがて、すたれていきました。しかし、基本的な考え方は重要です。プログラミングの基礎は「順次実行」「繰り返し処理」「条件分岐」です。その基礎をコーディングを含めて一斉学習で教えないでいきなり個別学習でやろうとすると「伸びていく子ども」とそうでない子どもの格差が広がっていくのではないでしょうか。そこは気を付けなければなりません。
今、ICT関係の研究授業と言えばほとんどの時間が「誰が先生で誰が生徒か」分からない授業形態です。先進地域の研究授業を見れば、1時間で取り扱う情報量の多さ授業の質の高さは目を見張るものがあり「凄い時代だなあ」と思います。「学びに向かう姿勢」が重視されていく中で理想とする授業でしょう。
しかし、それはあくまで最終形であり、やはり「読み、書き、計算」などの基礎が重要でそれによって優れた授業は支えられているのです。
そしてその基礎を学ぶことを支えるのは一斉授業であり、無くなりはしません。デジタル機器やAIの出現により教育が大きく変わろうとしていますが、基礎が軽視されると「学力低下」がクローズアップされ「デジタル」から「紙」への回帰が議論されることになります。
デジタルかアナログではなく、どちらも必要。そして一斉学習、個別学習、共同学習 どれも必要でその割合を子どもたちの様子によって変えていく必要があると思います。
|
|
|
|