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小学校のプログラミング教育   3つの懸念


 各新聞、雑誌、テレビ、インターネットなどで「プログラミング」の文字を見る機会が増えました。地域で「子ども向け」のプログラミングスクル」も増え集合研修会やらオンライン研究会も増えました。本屋さんでも関連書籍が多く発刊されています。
しかし、
「プログラミング教育?今は『GIGA School』対応、コロナの対応で精いっぱい!」という受け止め方が多いのも事実です。小中学校では感染防止対策、一人一台端末をどう活用するか、オンライン授業など取り組むべき多くの課題が山済みです。小学校では英語の教科化、教科担任制、キャリア教育など新しい課題も解決していかなくてはなりません。そんな中でプログラミング教育もしていかなくてはならない現実を考えてほしいものです。
さて、ここで今感じているプログラミング教育についての3つの懸念について書きたいと思います。

懸念1  いわゆる「ブーム」(流行)
 業界の方もビジネスチャンスということで 今、本当に多くのプログラミングソフトやロボットなどが開発されています。そんな中で何が良いのか、判断するのが現場では難しい。そしてそうこうしているうちに「ブーム」は終わる。ブームが去ると決まってその悪影響が取りだたされる。そんなことの繰り返しでした。例えば
 20年ほど前「総合的な学習の時間」というものが「ゆとり教育」とともに出てきて研修が盛んにされていました。そのブームが過ぎ今は「ゆとり教育」が日本の子どもの学力を下げたという悪影響ばかりが世間一般に言われています。(私はそうではないと思っています。)
同じことがおこるのでは?と危惧しています。
 総合的な学習もプログラミング的思考も「生きる力を育てる」ために必要なのであって決してブームで終わらせてはならないのです。

懸念2   ビジュアルプログラミング (確かに今の子どもにはピッタリですが)
 今、子どものプログラミング教育を支える言語は ビジュアルプログラミングです。数ある言語の中で小学生高学年用プログラミング教育用の言語は ほとんど ビジュアルプログラミング(言葉が書いてあるブロックを組み合わせていくもの)がほとんどです。代表的な例がスクラッチです。しかし スクラッチは一見 簡単なようですが実は難しいのです。
 また思考は言葉と一体となるものですから初めから言葉を与えて組み合わせていくことしかしないと思考力は育ちにくいと考えられます。例えば英語の単語を常に全て与えてそれを組み合わせて英文を作ることしかしない教育では自分の考えを英語で伝えることは難しいだろうというのというのと同じです。しかし今の現状では それに頼らざるを得ない状況がある。子どもの文字入力の力がどんどん落ちていっているからです。GIGA School 構想で回復しつつあるとも思っていますが・・・
 昔のキーボード付きのパソコンからタブレットやスマホの時代になったのこともありキーボードからの入力は今でも必要なのにする時間あまりがない。今の大学で 学生にキーボード入力の練習をさせている所が少なくないそうです。それほど子どもたちは社会の影響、学校教育のの影響を受けるのです。
 最初は「お手軽な」ビジュアルプログラミングから、それはそれで良いと思います。しかしそれが立派なプログラミング言語であるのでビジュアルであってもいろんなことができる。スタンダードになっているので各種センサーなどとも接続できるようになり中学校でもスタンダードになるかもしれない。しかし数年後にはパソコンで試験が行われる時代になる可能性があり文章をキーボードから入力する必要が出てくるでしょう。現に2015年からのPISA国際学力調査ではコンピュータへの移行が始まっています。2025年から大学入試で始まる「情報」のテストではプログラミングに関する問題も出てきます。しかし、そこはさすがにビジュアルプログラミングとはならない。なぜならビジュアルプログラミングは今の大人社会のスタンダードではないからです。
 その頃になって上の懸念1に書いたように小中学校で「プログラミング教育」という名のもとに おもちゃで子どもを遊ばせて、文字を入力してプログラミングのコードを考えて書く習慣がついていない。ブロックを組み合わせていくプログラミングばかりやってテキストでプログラミングを考えないので 高校でまた最初からテキストプログラミングを教えなければならない そこで脱落者が多く出てくる というような悪影響が叫ばれることになるような気がしてなりません。
 ここが一番の問題でビジュアルプログラミングからテキストプログラミングへの道筋が見えてこないのです。しかし一般社会の要請は間違いなくテキストプログラミングで今のように大学に入ってからキーボード入力練習をしているようでは国際社会からますます取り残されていくのは目に見えています。。

懸念3  さまざまな誤解

世間一般の誤解として これからはプログラミングができないと世の中についていけない。

 今ある仕事がどんどん機械化されこれからはプログラミングができないと就職もできない。そんな声が聞こえてきそうな気がします。しかし一般的な思考力や知識の一つにプログラミング的思考やその知識が増えるだけの話で それさえやっておけば将来は大丈夫だなんてことは絶対あり得ない。大体、小中学校でやるような初歩のプログラミングは 「AI」が自動的に作ってくれるようになるとも思われます。。
 むしろ 今までの文章読解力やコミュニケーション能力。そして思考力、判断力。表現力さらにそれらを支えるスキルの一つである考えながら手で文章を書いたりキーボードから文字を入力するスキルの方がプログラミングより大切だと思います。

先生方の誤解として 
1 プログラミング教育もできた作品を共有する創作活動である。

 もちろんプログラミングをすれば様々な作品が生まれますが、図工や音楽でプログラミングをするなら それをみんなで共有して鑑賞して終わりでもいいかもしれませんが 本来、共有すべきはどういうプログラムでそれが動いているのか あるいはどのような失敗体験をしどのような試行錯誤の上にそれができたのかを共有し学習しないと大学入試の時に困ってしまいます。。

2 プログラミングは教科の単元目標を達成させるものでなければならない。
 あるいはコンピューターに命令を出す体験さえすればよい。

まとめ

 今回プログラミング教育は各教科や総合的な学習の中に位置づけられている。しかし教科の単元目標を達成させるのは今までの授業で取り組むべきであってプログラミング教育はそれを「確実に理解」させる発展的な内容です。今は取り合えず「楽しみながらプログラミングを体験させればよい。」でいいかもしれませんが、その次の段階を考えておかないとだめです。つまり どういうプログラミング教育が小学生に必要でそれは 中学、高校以降にどうつなげていくのがよいのかを考えていかなくてはならないと思います。また子どもへのプログラミング教育ばかりが話題になっていますが大人の方に どう広めていくのかを考えないといけないということを強く感じています。

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