N03  この物語はフィクションで 学校名 個人名 団体名は全て架空のものです。
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 その時 平島美香が手を上げた。美香も 1,2年生に担任した子だ。
「でも『習い事のある日は休んでもいい。』 と今の中一からそう聞きましたけど、用事があったら休んでもいいんでしょ」
「それは、もちろんかまいません。」
後で聞いた話では平島美香(この子が後にキャプテンに選ばれるのだが)は習い事が特にあったわけではなかったが習い事のせいで入るのを諦める子が増えるのを防ごうとしたらしい。さすがだ。
さらに剛は続けた。
「先生は『バスケットボールは習慣のスポーツだ。』と聞いたことがあるし、そうだと思っています。練習に来られない日は自分でできることを5分でもしてほしいと思っています。」
「先生、それ宿題ですか?できることって何すればいいんですか?」
「宿題ではありません。何をやるかは、練習の中でわかってきます。とにかく練習が大事です。猛烈に活動がある中学や高校の部活なみです。基本的に毎日します。」

 明らかにドン引きしている子が10人ぐらいは いた。

「土日も練習や、5月ぐらいから練習試合もします。」
「試合?!」
『試合』と聞いて何人かの子どもたちの目が輝いた。
「君たちも、やるからには上手になって試合にも勝ちたいんでしょ。それぐらいしないと試合では勝てません。特に今年は6年生からなのでそれだけしてもトーナメントの上位に行くのは難しいかもしれません。」
剛は、子どもたちの気持ちを確かめたかった。いつの間にかチームを再結成することを前提に話を進めている自分がいた。

 深くうなずく子。少し迷っている子。やめそうだなと感じられる子。子どもたちの表情が3つに分かれた。やる覚悟は決まった。もともと、ひょっとしたら『再開するかも』と関係職員、管理職には連絡済だ。
「じゃ、明日から練習します。まだ何も買う必要はありません。体操服を着て体育館シューズをはいてお茶を用意するだけでよろしい。バッシュ(バスケットボールシューズ)なんか買ってもすぐ辞めちゃったらもったいないでしょ。それと、・・・やる子どもたちが10人以下になったらやめます。」

 その頃は子どもたちが10人以下になるなんて考えていなかったが転勤のことを考えると六年生の一学年でしか構成できないし、それこそあと一年しかできないのに途中で試合も参加できないようになったら悲惨である。小学生のバスケットボールでは 一試合10人以上でないと公式試合の参加資格がない。

 今では複数学年でも10人以上集めるのが大変で老舗の有名なチームがなくなったり、存続の危機に瀕したりしているチームも多い。

「正式に決めなくても仮入部みたいな形で練習してみて、それから決めたらいいですよ。」

次の日
 放課後、体育館にいくと二十数名の子が体操服で待っていた。
勿論、谷村絵里も平島美香もいた。平島が
 「『今日は来られないけど入りたい。』って子もいます。」と言った。
「エツ 誰?」
「中崎(宮西) 真由子」です。
担任した子ではないが 覚えている。たしか背も高かったな
「あっ そう。」
あまり気にも留めずに練習を開始した。
約1時間の練習(最初から1時間半や2時間やるのはきつそうだった)で準備体操、ランニング、フットワーク、ボールハンドリング、ドリブル、シュート基礎練習をちょっとやっただけで終わってしまった。
最初は物珍しくて仮入部した子の中でもボールにさわる前にするフットワークなどがきつくて(この子はやめそうだな。)そう思わせる子が何人かいた

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